Client
Mizuho Financial Group, Inc.
Industry
Financial Services
Country
Japan
Services
SharePoint Online, Viva Engage

(写真左から)デジタル戦略部 大泰司さま、コーポレートカルチャー室 帯向さま
※所属、肩書きは、取材当時のものです
今回は、組織や職種を超えて情報が交わり、エンゲージメントが育まれる次世代型ポータルサイトを実現した事務局(デジタル戦略部、コーポレートカルチャー室)に、その狙いと成果を伺いました。
大泰司:当時のミッションは、リンク集が中心だったレガシー型ポータルを、「ワクワクするような見やすいサイト」へ進化させることでした。役職員が直感的に必要な情報へたどり着け、経営層との双方向コミュニケーションも可能になる――その実現に向けて立ち上がったのが本プロジェクトです。さらにデジタル戦略部としては、役職員に新しい働き方を体験してもらい、モダンワークやデジタル変革を日常の中で実感してほしいという想いも込められていました。
帯向:コーポレートカルチャー室として、役職員のエンゲージメントを高めることがミッションの一つでした。ポータルを通じて、経営のメッセージや会社の取り組みをタイムリーに届け、仲間の活動や社内のお知らせを「見える化」することが重要でした。また、背景には、全社的なカルチャー変革の推進があり、その中でも大きな課題のひとつがコミュニケーションの活性化でした。社員からも「毎日アクセスするポータル上に、経営層のメッセージやカルチャー変革の取り組み、役職員同士のつながりを感じられる情報を集約すべき」との提言もありました。既存の社内報サイトは活用度やアクセス数に改善の余地があったことから、全役職員が毎日利用する全社ポータルを通じて、業務の合間に自然と目に入り、誰もが気軽に情報をキャッチできる仕組みを整えたいと考えました。
大泰司:Microsoft 365はすでに社内に導入されていたものの、情報基盤としてSharePoint Onlineは十分に活用されていませんでした。採用の決め手となったのは、事務局が自ら迅速にデザイン変更へ対応できる運用面での柔軟性です。従来はちょっとした修正でもIT部門へ依頼し、コストや時間がかかるチャレンジがありましたが、その解消につながりました。さらに、ライセンスの追加コストが不要であることも大きなポイントでした。全社ポータルを起点にSharePointOnlineを活用することで、Viva EngageをはじめとしたMicrosoft 365全体の利用促進にも波及します。Microsoft365の価値を最大限に引き出すための基盤として、SharePoint Onlineは最適な選択だったといえます。
大泰司:SharePoint Onlineを活用した全社ポータル刷新を実現するために、パートナー選定にもこだわりました。Engage Squared社は、Microsoft Partner of the Yearを受賞するなど、世界的にも実績を持つパートナーです。単なる技術支援にとどまらず、UI/UXをふまえたSharePoint Onlineの構築支援に強みがあり、「どうサイトを作るべきか」を熟知している存在だと感じました。だからこそ、私たちにとって理想的な伴走者になると確信しました。
帯向:Engage Squared社の提案で、まずは試行サイトを立ち上げ、利用者サーベイを通じて評価や改善点を収集しました。並行して実施したコンテンツ企画ワークショップでは、企画部署や営業担当など業務ごとに必要な情報を整理し、コンテンツ設計やリンク構成の方向性を明確にできました。事務局だけでは30件ほどのアイデアしか出せませんでしたが、複数職種のペルソナを用いたワークショップにより発想が広がり、結果としてアイデア数は2倍以上に増加。事務局メンバーのクリエイティブな感性を引き出せたことは大きな収穫でした。さらに「役職員インタビューや人材情報を掲載したい」というニーズも寄せられ、役職員を前面に打ち出す新しいコンテンツづくりにつながったのも大きな成果です。
大泰司:コンテンツ企画ワークショップでは、当部が生成AIの推進も担っていたことから、生成AIツールへのリンク掲載や活用を促す訴求といったアイデアも生まれました。将来の働き方を見据えたアイデア出しができた点も、大きな成果だったと感じています。全社ポータルは全役職員が利用するものですので、最初から完成版をリリースするのではなく、試行版を公開して意見を取り入れながら改善できたのはよかったと思います。アンケートやインタビューを通じて要望を反映し、段階的に作り込んでいくアプローチが有効でした。私は以前IT部門に在籍していたため従来型のウォーターフォール開発に慣れていましたが、全社ポータルには「小さくリリースし、改善を重ねる」方法がとても適していると実感しました。役職員の声を取り入れながらサイトを育てていけたのは大きな成果です。
帯向:実際に試行サイトを運用する中で、「更新頻度が少ないコーナーは専用枠を設けなくてもよい」「全役職員に関わる情報は画面上部に集約した方がよい」といった具体的な改善点が浮かび上がりました。さらに、インタビューでは「社内のお知らせは全件表示する必要はない」との声もあり、それを受けてレイアウトを変更しました。実際の利用者の声を反映しながら調整できたことは、大きな学びとなりました。さらに、サイト名もEngage Squared社の提案によって決定しました。複数の候補の中から選ばれた「Mizuho Access Portal(MAP)」は、呼びやすさと親しみやすさから役職員に定着しています。
帯向:カルチャー変革の一環として、Viva Engageの定着化も私のミッションの一つでした。Engage Squared社のアドバイスのもと、全社ポータルにViva Engageを埋め込み、役員メッセージや役職員の取り組みが自然に目に入る仕組みを取り入れました。以前はログインに複数の手順が必要で負担が大きかったのですが、SharePoint Online経由でアクセスできるようにしたことでハードルが下がり、利便性が大きく向上しました。全社ポータル上で役職員の交流が自然と可視化されるようになったのは、大きな効果だと感じています。現在、Viva Engageの利用者数は着実に増加していますが、積極的に活用する層とそうでない層の差は依然として大きい状況です。今後は、未利用者層にも使ってもらえるよう、さらなる仕掛けや工夫を重ねていきたいと考えています。
帯向:従来の全社ポータルには広報的なコンテンツがなく、運用負担も大きいというチャレンジがありました。しかし、SharePoint Onlineの標準機能を最大限に活用した全社ポータルサイト「Mizuho Access Portal(MAP)」へ刷新したことで、更新や修正が驚くほど簡単になり、新しいシステムやサービスの追加依頼にも柔軟かつ迅速に対応できるようになりました。「MAPを開けば新しい情報がある」と利用者が感じられるのも大きな強みです。実際に、研修募集や社員参加企画イベントのお知らせをMAPに掲載した際には参加者数が増加するなど、情報発信の効果が実証されています。参加者との接点が広がり、新たな交流のきっかけが生まれています。
帯向:利用者からも「MAPトップページは見やすくてよい」といったポジティブな声が寄せられています。従来はあまり見られていなかった社内報コンテンツも、MAP上で社長メッセージが自然と目に入るようになったと好評を得ています。
大泰司:デザイン面も評価が高く、導入後も「見た目がよくなった」との意見を多くいただきました。転職で当社に入社した同僚からは「従来の全社ポータルはテキストばかりで驚いたが、MAPはデザインもよく、とても使いやすい」とポジティブな声もいただきました。
帯向:MAPは、経営メッセージや社内の取り組みを見える化し、役職員同士のコミュニケーションを深めるのに役立っています。写真やビジュアルを工夫することで自然と目に入り、エンゲージメントにつながるのも大きなポイントですね。大事なのは更新頻度で、毎日でなくても定期的に新しい情報を出すことが重要だと思います。「見に行かなくても自然と情報が入ってくる」仕組みがあることで、意識の高い人だけでなく、普段あまり関心のない人にも届けられるのが強みです。広報の視点を持ちながら運用することで、さらによいポータルになると考えています。
大泰司:運用面では、SharePoint Onlineの標準機能をうまく活かすことが大事だと思います。目的に合わせて工夫すれば、意外と実現できることが多いと感じていますね。
帯向:今回のプロジェクトは、Engage Squared社のきめ細やかな伴走があってこそ実現できました。少人数ながら一貫して担当いただき、「この人に聞けばすぐに動いてもらえる」という安心感がありました。SharePointの豊富な経験と他社事例をふまえた具体的な提案、柔軟な調整力、計画的な進行管理に大いに助けられました。特にアジェンダやネクストアクションを毎回丁寧にまとめていただいたことで、社内報告や上司への説明もスムーズに行えました。
大泰司:積極的に当社に足を運んでいただき、現場の温度感をふまえた議論を重ねることができました。守りに入らず「攻め」の姿勢で共に伴走していただいたことは、私たちにとって非常に心強いものでした。