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Client

Mizuho Financial Group, Inc.

Industry

Financial Services

Country

Japan

Services

SharePoint Online

日本を代表するメガバンクグループ、株式会社みずほフィナンシャルグループ(MIZUHO)は、同社および株式会社みずほ銀行(以下、みずほ銀行)におけるIT投資案件の最適化を目指す取り組みを推進しています。

(写真左から)ディレクター 高下 さま、ヴァイスプレジデント 沼 さま、次長 三澤 さま

今回は、その活動を支える事務局(IT業務・プロセス企画部)の皆さまに、情報基盤として構築された「最適化Naviサイト」の背景や、SharePoint Onlineを選定した理由、そして同社が描くDXの未来と次の一手などについてお話を伺いました。

|最適化とは?――IT投資の“守り”と、全体最適の未来へ

高下:まず、我々が取り組んでいる「最適化」は、5年、10年といった中長期スパンでIT投資全体を見据えながら、各案件を最適化方針(Principle)に則って進めていく活動を指します。最適化とは、これまで培った知見や、最先端テクノロジーを活用し、「IT投資案件の大方針・Principleに基づき、検討初期からビジネス・態勢・システム要件を確認し、適切な提言を行う入口最適化活動」を推進する取り組みです。
現在、事務局として、こうした最適化の実行支援だけでなく、その意義を社内に広く伝え、理解と行動につなげていくための訴求活動にも力を入れています。

三澤:弊社グループのような金融機関のDX推進においては、クオリティ(Q)、コスト(C)、納期(D)の三要素すべてを同時に満たすのは非常に難しい構造になっていると思います。とくに、金融という信頼性が第一の商品を扱う以上、品質は絶対に落とせない。その結果、コストや納期にしわ寄せがくるという構図が避けられません。そして、その時々で正しいと判断した投資を重ねた結果、システムは無秩序に増え、構造は複雑化しました。
だからこそ今、私たちが本気で取り組むべきなのは、個別最適を超えて構造そのものを見直す全体最適の実現です。アーキテクチャーの統一、セキュリティ、人材・体制、パートナー選定──そうした要素を最初から一貫性を持って進めていくことが重要だと考えています。

|最適化の入口に、開かれた情報を――SPO選定の背景

高下:最適化を推進するうえで欠かせないのは、案件起票者や関係者が正確かつ最新の情報に素早くアクセスできる環境の整備(「最適化Navi」のサイト構築)でした。そこで求められたのが、スピーディーに、分かりやすく、誰でも簡単に情報にたどり着ける手段です。初期段階ではAWSでの構築も検討しましたが、全社ポータルサイトでの活用実績や、運用性・検索性などを総合的に評価した結果、Microsoft 365環境で使えるSharePoint Onlineモダン(以下、SPO)を選定しました。ライセンス面でのコスト効率や、Microsoft 365を起点とした社内DXの促進といった観点からも、最適な選択だったと考えています。

三澤:弊社およびみずほ銀行にはDX推進にて変えていくべき情報環境が数多く残っています。メールやファイルサーバーなど、特定のメンバーのみアクセスできる環境に過去のノウハウが埋もれていて、利便性が高いとは言えない状況でした。今回の取り組みでは、こうした状態から一歩ふみ出し、知りたい人が、誰でもアクセスできる開かれた情報環境への転換を目指しています。この変革を支える基盤として、SPOが果たす役割は非常に大きいと考えています。

|こんなデザイン、初めて!――”攻め”のサイトづくりと、Engage Squared社との共創

高下:案件起票者や関係者が、正確かつ最新の情報に素早くアクセスでき、スムーズに案件起票を行えること。加えて、事務局側の運用も容易にすること。こうした目的のもと、Engage Squared社に伴走いただきながら「最適化Navi」のサイト構築を進めました。
あわせて、最適化という活動自体を社内に広く周知していくことも、今回の重要なミッションのひとつでした。当初は「最適化って何?」「IT投資案件が自分に関係あるの?」といった声も多く聞かれたため、単なるポータルサイトの構築ではなく、伝えることそのものが大きなテーマだったのです。そこでEngage Squared社の提案を受けながら、サイトに掲載するコンテンツや導線設計に徹底的にこだわりました。たとえば、業務フローと紐づけて「今、ここを見ればよい」と直感的に理解できる構成とし、伝わるUI・UXを追求しています。専門性の高い情報であっても、誰もが自分ごととして受け取れる工夫を重ねました。
プロジェクトはアジャイル的なアプローチで進行し、定期的なミーティングを通じて、我々の想いや現場の課題感を丁寧にすくい取っていただきました。加えて、SPOには一定の機能制約がありますが、それゆえに設計の方向性が明確になりやすいという利点もあります。最初にしっかりとレクチャーをしてくださり、設計方針を固めることで、必要な情報や機能も自然と整理され、アイデアも出しやすかったです。

沼:見た目のデザインにも、うれしい驚きがありました。アイコンや画像、鮮やかなカラーの使い方など、視覚的な訴求に工夫が凝らされており、いわゆるシステムっぽさを良い意味で壊してくれたのです。実際に社内からも「こんなデザイン、初めて見た」といった声が上がり、Engage Squared社のデザインセンスと技術力が、私たちの想いと化学反応を起こしてくれたと感じています。

三澤:最適化という言葉には、どうしても統制のような堅さを感じる方も多い。でも今回のプロジェクトは、色彩や導線、アイコン選びなど、細部に宿る遊び心が、最適化活動全体の空気を柔らかくしてくれました。白と黒、直線と直角で構成されていた銀行業務の世界に、ようやく色が差し込んできた――そんな実感がありましたね。

沼:最適化Naviサイトを見た他部門から、「うちでもSPOを使いたい」「このサイトを自分たちのサイトでも紹介したい」という声が届くようにもなりました。

|サイトを作ってもらうから、育てていくへ――運用とカルチャー変化

沼:運用ルールやマニュアルを丁寧に整備していただいたおかげで、今では基本的な更新作業も自分たちだけで問題なく進められています。「見れば分かる」「探せばすぐ見つかる」――そんな直感的な構造のおかげで、SPOに初めて関わる事務局メンバーでも、迷わず管理・運用できるようになりました。

三澤:今回の取り組みでは、サイトを自分たちで作り育てていく仕組みを実現できました。これは単なる運用の変化にとどまらず、組織としてのカルチャー転換にもつながる大きな一歩だったと感じています。

 

 

|最適化Naviサイトから始まる――SPO×DXで広がるMIZUHOの業務変革

高下:最適化Naviサイトは、今後さらに進化していく予定です。現在は案件起票の入口としての役割を果たしていますが、将来的には起案からリリース、保守に至るまでの一連のプロセスをナビゲートできる、業務基盤としての機能拡張を目指しています。また、Power Automateとの連携によって、プロセスの可視化や自動化を実現し、より高品質なデジタルエクスペリエンスをユーザーに提供していきたいと考えています。

三澤:最適化は、IT投資を健全に進める“守り”のための取り組みでもありますが、今回私たちはそこに“攻め”の視点を加えました。その結果、単なるサイトづくりにとどまらず、チームやカルチャーを変える機会となり、SPOの活用促進にもつながったと感じています。
弊社グループにおいてDXを進めていくうえでも、アーキテクチャーの統一や、現場のITリテラシーの底上げは欠かせないテーマです。だからこそ、教育や啓発も非常に重要だと感じています。その第一歩として、SPOを活用した最適化Naviサイトは、現場の人たちがITに親しみを持つきっかけになったと感じています。「ITって少し身近かも」「このサイトなら使ってみようかな」――そんな空気をつくることが、私たちIT部門の大切な役割のひとつだと思っています。
今後は、生成AIの活用も視野に入れながら、情報の集約・整理を進めていくことが次のステップだと考えています。SPOとMicrosoft 365 Copilotの連携によって、より使いやすく、意味のある情報活用ができる世界に期待しています。

 

 

|はじめの一歩が、可能性を広げる――SPOサイト担当者へ

高下:SPOは、ITに慣れていない方にもとても扱いやすいツールです。今回の取り組みで、私自身もまずはやってみることで見える景色があることを強く感じました。ぜひ、一歩ふみ出して触れてみてほしいと思います。

沼:最初は何をどう作っていいかわかりませんでした。でも、Engage Squared社の伴走によって、やりたいことが整理され、形になっていった。完成後には、自分でもここまでできたんだという感動がありました。他の方にも、そうした体験をしてもらいたいです!

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